2020 November

 

 
 
母の親友である画家の佐野ぬい氏、パリで個展をなさった時に買わせて頂いたゼロ号の額をアトリエに飾る。母のコレクションから作品のポストカードも年代順に整理してアクリルのボックスへ。当時の新聞記事やFIGAROの特集を改めて読みつつチャーミングなお人柄を思い出す。

 

 

 
 
 
読書家のいとこ姪からプレゼントされた須賀敦子さんの文庫本。書下ろしの長編小説ではなくエッセイのまとめたモノはどこからでも読みやすく、飛行機や新幹線の移動の間の気分転換にも嬉しい。そもそも「移動の間に本を読む」こと自体がめっきり少なくなったスマホ時代、反省を込めてバッグに忍ばせる。

 

 

 
 
 
先シーズン以来コロナの影響を思い切り受けてしまったパリコレ、YouTubeで発見した90年代のプラダのショウをアトリエで見る。リンダ・エヴァンジェリスタ、カレン・マルダー、ナオミ・キャンベル、タチアナと錚々たるスーパーモデルが大集結したゴージャスなショウはため息が出るほど。モードやファッションはファンタジーであり夢、ヴァニティーであり一瞬で消えてしまうモノだからこそ思い切り贅沢な演出も許されるのでは・・・。

 

 

 
 
建築家の山本学治先生は父の古い友人であり家族ぐるみのお付き合い、若かりし学治先生の建築以外の著書「山と雪の歌」。イラストは奥様、写真は父が担当した手作り感満載の素敵な本。子供の頃家族でご一緒したスキーの思い出が温かく蘇る。

 

 

   
 
 
お料理好きな母がキッチンで次々と作り出すご馳走は「魔法のお皿」?と思うような楽しい思い出。メアリーポピンズやピーターラビット、プーさんの本に出て来るお料理を作りたいと言う私のリクエストに応えてクリスマスプレゼントに贈ってもらった3冊のクッキングレシピ、「プーさんの蜂蜜タルト」などネーミングも可愛らしく今も私の宝物レシピ。

 

 

 
 
 
建築会館に「広瀬鎌二建築展SH+」展を見に行く。私が育った家は父が設計した「サニーボックス」、建築雑誌にいつも対のように掲載されていた広瀬鎌二氏設計のSH60は私が多大な影響を受けた住宅。掲載誌が届くと良く知っている自分の家よりSH60に興味津々、後にパリのアパルトマンを自分でデザインした時も思い描いたほど思い入れのあるSH60。2022年に生誕100年を迎えられると伺い感慨深い。

 

 

 
 
 
同じく建築会館で開催中のAACA賞の発表会も拝見、若い建築家の方々の力作が並ぶ。建築は発注しなければ施工出来ない上社会性も高く、デザインから竣工までのプロセスは長く煩雑。同じデザイナーでも「工程の全てをほぼ一人で完結できる」と言うのも私がジュエリーデザインの道を選んだ理由かも知れない。

 

 

 
 
 
久しぶりのパリはロックダウンの真っただ中、サンジェルマン・デ・プレ教会は通行証をコントロールするポリスの詰め所になっている。まるで第2次世界大戦の時の様とお隣のおばあ様、セピアの小冊子の写真と目の前の景色がシンクロする戒厳令のパリ・・・。

 

 

 
 
 ロックダウン中のパリは自宅から1キロ圏内の必要最小限の外出しか出来ない、それでもサンジェルマンの街は変わらず美しくブティックを眺めて歩くのは楽しい。ロワール海岸のほとりジアンの街に1821年に誕生した陶器のブランド「GIEN」、ロワールの豊かな自然をモチーフにしたヨーロッパらしい柄が本当に素敵。いつもは足早に過ぎてしまうウィンドウをしばし眺めその長い歴史を知る。

 

 

 
 
私のブティックのお向かいにある小さなパッサージュ、その奥には知る人ぞ知る美しいギャラリーが。貴族のお嬢様が営む一点モノのジュエリーやオブジェを扱うこの上なくエレガントな空間。アポイントメント制でゆったりと見せて頂く贅沢な時間はロックダウン中の素敵なお楽しみ。

 

 

     
 
 
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